夢。

「保育士になりたい」そう言ったら親が笑顔で喜んだ。

 

盲導犬育てる人になりたい」「ケーキ屋さんしたい」「パン屋やりたい」

他にもたくさん夢をもっていた。だけど、

「そんなんやめとき〇〇やで。」

その一言で毎回私の夢は崩れ去っていった。

 

結局親の喜ぶのは「保育士」なんだ。ほかの夢を言ってもいつも否定してきた。

「そんなんやめとき。」って。

 

その一言で私の夢は全部なくなった。保育士しかなくなった。

だから、自然と保育士にならないといけないんだって、保育士になりたいんだって思っていた。

 

そんなことにも気付かず、私は今まで保育士になりたいと出会った人みんなに伝えてきた。<b

 

いざ、就職活動。勉強。

 

私はこれがやりたい職業なの?

自問自答。

ただただ親の目ばかり気にして、保育士としか言えなくなった。だから保育士。

 

こんな理由で保育士なんてできるのか。

保育士の親を目の前で見てきた私には分かる。出来るわけがない。そんな簡単な職業ではない。

 

だけど、もう別の道に行く方法すら見つからない。まるで綱渡りのよう。決められた1本の綱を恐る恐る進んでいく。そして、そこしか進む道はない。

誰か手を引っ張ってくれ。おまえはそっちじゃないって。保育士に向かうこの1本の綱渡りから落としてくれ。もうやだよ。

人の目を気にして、親の目を気にして、そんな生活にピリオドをつけさせてくれ。

どん底でいいから、落ちる恐怖に打ち勝てない私を手を引っ張って落として。

今の綱を渡りきったところで達成感なんて感じられないのだから。

 

別にこの綱に導いた親を責めるつもりも責任を押しつけるつもりもない。私が悪い。

 

親の目なんて気にせずやりたいことを言いまくれば良かったのに。ただ弱い自分のせい。やりたいことをやるって人生後悔しないってそんなかっこいいこと言って結局後悔しまくり。

人生そんなもん。

 

怖い人生だ。

悔しい人生だ。

哀れな人生。

 

この保育士に向かう1本の綱から落としてくれる人が現れるのか、それかどん底に自ら落ちる勇気を私がもつのか。

 

いや、結局保育士になるのだろう。

 

そう。だって私は

 

保育士にならなければならないのだから。